Großwetterlage 「広域気象状況」「氾天候」


一定の気圧配置や気流は、ある程度の期間(最低でも数日以上)、同様の状態が持続することがあります。それらの気圧配置や気流の状況をいくつかの Muster (n. -s/-) 「型」に分類し、それぞれに固有の呼び名を付けたものが Großwetterlage (f.) です(提唱は Franz Baur )。日本でも西高東低型などの気圧配置が一般にもよく知られていますが、あれのヨーロッパ版と思えばいいでしょう。ドイツに留まらず、広く東ヨーロッパから北大西洋までを含む領域における対流圏中・下層の気圧配置や気流の状況などに応じてシステマティックに分類されています。


この語の後半の Wetterlage (f. -/-n) 「気象状況」は、狭い一地域で1日程度の短い期間、特定の状況があまり変化せず持続した場合に、その状況を表す言葉です。で、それよりも時間的、空間的にもっと大規模なバージョンということで、「大きい」を意味する groß- を前に付加した語が Großwetterlage です。なので、全体としては「大局的な気象状況」くらいの意味合いです。ただ日本語では定訳はまだ無く、小学館『独和大辞典』 (1985, 1990) を引くと「広域気象状況、天気概況」という訳語がありますが、研究社『独和中辞典』 (1996) では「(広域・長期の)気象概況」とあり、『平凡社版気象の事典』 (1986) では「天候」の欄に「汎天候」という呼び方があげられています (p.383) 。


一例をあげると、上空で偏西風が卓越する際には West-Wetterlage もしくは Westlage 「西風型」という語が用いられ、低気圧が地中海からポーランド方面へと北東進する気象状況では Vb 型( V はローマ数字の5)などが予報解説文などでもよく用いられます。 Großwetterlage についてはドイツ気象局の気象語彙集 Wetterlexikon の Großwetterlage のページに詳細な分類基準についてのリンクが貼られています。ドイツ気象局による過去及び直近の天候の分析結果は Leistungen 「業績」のカテゴリー中の Großwetterlage のページから見られます。

コメント

このブログの人気の投稿

動詞 ausgehen

降雨にまつわる様々な語句、文表現

Regen 「雨」を基礎語とする複合語

気象予報

予報文でしばしば用いられる語句、文表現

高気圧・低気圧とともに用いられる表現

気象の発生・持続・解消をあらわす語句、文表現

Regen 「雨」、 regnen 「雨が降る」、 regnerisch 「ぐずついた」

天気・天候を表す非人称構文